いつかしぬからきょういきる

受験、日常、生活

ぬくもり

スーパーでレジに並んでいた

 

手に持っていたのは500mlのペットボトル1本のみ

 

商品名は

 

ジョージア 贅沢生クリームのカフェオレ』

 

前には2人並んでいた

 

どちらも3日分ぐらいの食材を買っている60半ばのおばあさんだった

 

日本人女性の平均寿命は80歳を超えているのでおばさんと言った方が良いのだろうか?

 

そしてレジの担当はレジ打ちが遅いことで有名なTさんだった。

 

長丁場になるな…とぼくは思った

 

ぼくは前に並んでいるおばあさん(おばさん)がカゴに入れている商品を覗いて時間を潰すことにした。

 

覗いて10秒ほど経過した。

 

僕はおばあさん(おばさん)の視線がこちら方向へ短い周期で連続して向かっているのに気づいた

 

僕はまずいと思いカゴの近くにある床を見ている風に装った。

 

なんとかバレなかったと思った矢先に声をかけられた

 

「ちょっとあなた」

 

。。。

 

終わったと思った

 

僕はこのおばあさん(おばさん)がいるレジに並んでしまった因果を恨んだ

 

地球の歴史から考えればゴミのように短い19年の僕の歴史が走馬灯のように浮かび上がってきた

 

これから先に下される罰がどのように残忍なものであるかと想像するだけで歯がガタガタ震えた。

 

しかしこの後に起こった展開は僕が思っていたものとは182度も違っていた。

 

なんとおばあさん(おばさん)は僕が商品を1つしか持っていないのに気づき、レジを譲ってくれたのである

 

予想だにしなかった展開であった故に僕の口(mouth)は呂律の回転を怠ってしまい上手く感謝の気持ちを伝えることが出来なかった

 

レジを済ませ、僕は先の貴婦人に深くお辞儀をしてイズミヤを後にした

 

 

近頃、自分の存在意義に疑問を持ち絶望し、何も考えることができず自分の存在が存在すること自体を忘れていた

 

しかし貴婦人は僕に気づかせてくれた

 

ここにあるのが僕で僕がここにあるから僕が存在するのだと…