置き石
学童クラブというものに所属していました。放課後行き場のない小1〜3年の子供たちを匿ってくれる場所です。
学童の閉館時刻になると家の方向ごとに班を分けてその班でグループになって帰ります。
僕は当時その班で唯一の3年生だったので班長という役職を与えられていました。
年功序列文化の根強い日本らしい決め方だね。
班のメンバーにI場くんという男の子がいました。彼は当時1年生だったので年功序列制ではカースト最低辺の雑魚です。
でも彼は1年生だったので年功序列の意味も知らなかったのでしょう。
何を思ったか急に列を乱し
石を線路に置いたんですわ。、
しかも遮断機が閉まるギリギリの時に。。
僕は彼にやめろと言いました。班長なので。
どうしようもない、あかん。
踏切からのカンカンという音が「ァカン、ァカン」と警告しているようにも聞こえました。
線路に石をおいたらアカンのです。
電車の音が近づくにつれて、遮断機が示す矢印が僕のほうに向かってくるように感じました。
「死んだらアカン、死なせてもアカン」という校長先生の口癖が頭の中で無限ループしています。
どっちも守れそうになかった僕はパニックで頭が真っ白になりました。
キキィッー!という音で目が覚めました。
目の前にはI場くんがいました。
僕は天国に来たのかなと一瞬思いましたがそうではないとすぐにわかりました。I場くんのような極悪犯罪者が天国に招かれるわけがないからです。
班長責任で一緒に地獄に連れて行かれたのかと思いましたがそうでもなかったようです。
I場くんが置いた石は白く粉々になっていましたが幸い電車には何の問題もなかったようです。
よかったね。
𝒀𝒐𝒌𝒂𝒕𝒕𝒂…
正直者の僕はことの顛末をしっかりと先生に話しました。班長なので。
班全員で怒られました。I場くんは「班長は何も注意してくれなかった」と謎の抗議をしてました。地獄行くのは確定だと思います。
僕は引責辞任を申し出たのですが年功序列が崩れるからという理由で班長をそのまま1年間務めることになりました。
置き石はやめましょう。