いつかしぬからきょういきる

受験、日常、生活

寿司

回転寿司というものをご存知だろうか

 

一般的な寿司屋というものは大将と対面したカウンター席に座って直接注文して寿司を握ってもらう。

 

しかし回転寿司はなにやら機械で形成された米の上にネタが乗ったものがレーンの上を流れてくるのである。

 

競馬に大勝ちしたという友人が寿司に連れて行ってくれるというのでそんなら一杯よばれようということでついていった結果、この回転寿司というカラクリ館に押し込まれたのだ。

 

正直なところ私は困惑した。回転する寿司というのを初めて見たからである。

 

席に着くと右から現れては消えていく寿司に目を奪われた。マグロ、ハマチ、タイかつて共に海を渡り歩いてきた魚たちがまた寿司のレーンに集い泳ぎ回っているではないか。回転寿司が魚たちを生き返らせたのである。この時から私は廻転生の存在を信じるようになった。

 

感動しつつ魚群に手を伸ばそうとすると友人が「そんな時間のたった奴はダメだよ、美味しくない」と私の手を振り払い何やらタッチパネルを操作し始めた。

 

しばらくすると魚群のレーンとは別にある上段のレーンから新幹線に乗ってマグロがやってきた。

 

「ほらこっちの方がネタが新鮮でいいだろう?」と誇らしげに私の前に皿を置いた。

 

その時私にはえもいわれぬ感情が湧き上がり身体中に電撃が走った。

 

友よ、お前にはこの魚たちが楽しそうに泳いでいる姿が見えないのか?確かに長時間レーンを流れたネタはしなびて多少は味が落ちるだろう。でもそれは回転寿司に求めることであろうか。味の良い寿司が食べたいのであれば普通の寿司屋に行けば良いのだ。新幹線に乗ったマグロは「もっと泳ぎたかったでやんす」と泣きわめいている。寿司に新幹線?どうしてそのように酷く残忍なことができるのだ。

 

一喝した後は友人も反省したのか新幹線を使うようなことはなかった。

 

場が落ち着かと同時に空腹を思い出したので鯛をいただこうと思った。しかし魚群の中からはなかなか鯛が見つからない。

 

 

数分後、新幹線に乗った鯛を喰らった。